第4章 ビターラブ/エドワード・エルリック
その頃、ウィンリー宅では……
「遅い!! 何やってんのよ、あの二人は!!」
「まぁまぁ……。その内、来るって」
「もぅ!! は、いつも二人に甘いんだから!!」
「そんなことないよ! ほら、座って。コーヒーでも飲みながら、気長に待とう」
「仕方ないなー」と唇を尖らせながら、ウィンリーは椅子に腰かけた。その様子に目を細め、はコーヒーの入ったカップを口へ運ぶ。
「(……ウィンリー、早く渡したいんだろうな)」
昨日、二人はここで今日の日の為にチョコを手作りした。手先が器用なウィンリーは工具を型どったチョコを自分宛に、それと一緒に作ったトリュフは……誰かへ宛てたプレゼント。
綺麗に黄色の包装紙でラッピングされたそれは、の向かいにある棚の上で今か今かと待機している。
幼い頃から、いつも四人で遊んでいた。
エルリック兄弟がこの街を出てからも、時々ではあるが四人で会う事もある。
そして……。は、ある事に気付く。
自分の感情と、二人の距離に。
近くて遠い、自分と二人までの距離……。