第4章 ビターラブ/エドワード・エルリック
雪が降っている。今年初めての雪が。
「さみー!!」
「兄さん、大丈夫? ………あ! 見て、兄さん! 雪だるまがあるよ!!」
エドとアルは進めていた足を止めた。ちょこんと可愛らしい小さな雪だるまが二人を待っていたかのように、道端にあるブロック塀の上に置かれている。
「アイツも、まだガキだな」
「懐かしいなー!! 雪が降った日には、みんなでこうして作ったよね」
ガシャッと鎧を鳴らすと、アルは冷たい雪の上に腰を下ろし、大きな手で器用に小さな雪だるまを作っていく。
「アル!! 遊んでる場合じゃ」
「いいじゃないか!! 久しぶりに帰ってきたんだし、のんびりしようよ」
「オレだって、そうしたいさ……。けど、アイツからの呼び出しだぜ? 遅れたら……」
みるみる青ざめるエドの顔。
アルもその表情を見て、慌てて立ち上がった。
「……ウィンリー、怒ると恐いもんね……」
再び、エルリック兄弟は雪の中を歩き出した。
二人の足跡がザクザクザクッと、白の世界に シッカリと刻まれて行く。