第2章 黒の教団・新しい入団者の少年
―医務室へと向かう途中。
『…ゥ、ユウ! …ユウってば、痛いわ!』
神田「…」
真っ直ぐに医務室へと向かっている中、神田はただ無言で歩き強く握られた手首の力は緩まない。
『…ねぇ、ユウ、どうしたの?』
神田「…っ…」
『…わっ!?』
神田に問い掛けると、いきなり足を止め振り向き主人公を抱き締めた。
『…ユウ…?』
神田「…… 身体…もう良いのか? ……あんまり無理すんな…」
『! …ん…ごめんね、ユウ。 …もう、大丈夫だから。 ……ありがとう。(微笑)』
神田が、ずっと自分の事を気にしていてくれた事を知り、腕をそっと神田の背中へと回し神田を抱き締め返す。
神田「! …あぁ。」
まるで主人公の存在を確認するかの様に、神田は抱き締める腕により一層力を込める。そして暫く抱きしめ合っていた後、医務室へと向かった。
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―一方のアレン&リナリー。
リナリー「……此処が食堂で… それから… ……何か聞きたい事ある?」
アレン「え、えっと… その…(どうしよう…ユウリの事聞きたいけど…)」
リナリー「…クス …ユウリと神田の事…?」
アレン「っ…はい…」
【聞きたい事】と言われ思い浮かんだのは、久しぶりに再開した姉弟子・ユウリと同じファミリーネームで呼ばれていた目つきの悪い青年の関係だ。
アレンが聞くに困っていると、それを察したリナリーが話してくれた。
リナリー「…そうね、まず…アレン君はユウリの事大体は知ってるのよね?」
アレン「はい…。一応ですが…2年位一緒に旅をしてました。」
リナリー「…神田とユウリはね、ユウリがお姉ちゃんで、姉弟なの。…だからファミリーネームが一緒なの。」
アレン「…きょう、だい…?」
リナリー「えぇ。ユウリも神田も結構前から此処にいるけど、2人はとても仲が良くて、お互いを大切に思ってて …ユウリはね、神田が唯一心を許してる人なの。」
アレン「…」
アレンは、リナリーの話しを黙って聞く。
―自分の知らない【神田 ユウリ】という1人の女性の話しを。
リナリー「 …ふふ ユウリは優しいし気が利くから教団でも人気なのよ。…本人無自覚なんだけどねぇ…(呆」