第3章 マテールの亡霊
(『!! …あれはっ…!』)
しかし、アレンがたった今切り裂いたのはダミー。その後から迫る本物にユウリは焦り、地を蹴る足に力を込めた。
『アレン、後ろよ!』
アレン「…え?」
悪魔「フヒヒヒヒヒヒ!! ここ!ここ!」
―――ドッ
僅かながらユウリは間に合わず、アレンの姿を写し取ったアクマのその鋭い爪が深々とアレンを貫いた。
アレン「!? こ…―――んのッッ!!」
『っ…アレン!!』
―――ヒュッ
悪魔「へへへへへへ」
『くっ…』
焦ったユウリは、咄嗟にイノセンスで攻撃するも、それはいとも簡単に除けられてしまう。
『…アレン、大丈夫?』
アレン「は、はい、なんとか…」
悪魔「お前ら私をナメてただろ」
アレンともピエロとも、どちらともつかない格好のアクマが得意げに笑って言った。
悪魔「写し取る、これが進化した私の能力」
『! アレン気をつけてっ』
右腕に写し取ったアレンの左腕を槍の形に変形させ、アレンを突き刺そうとアクマは向かってきた。しかし、突然変化したアクマの右腕に注意を奪われ、アレンは隙だらけ。
『っ…くっ―――!』
(『…お願い! ―――間に合って…!!)
―――ドドドドドドン!
何とか槍の軌道をアレンの身体から逸らそうと試みアレンに抱き着くが、そのまま勢いに逆らえずアレンを受け止めるような格好で、背中から吹っ飛ばされた。