第2章 境界
話した事が本当だと証明できて嬉しいのか、健太は手招きされている方へどんどん向かって行く。
少し進むとそこにいたのは、 頭に信乃にソックリな少女を乗せた巨大蜘蛛だったのだ。
『っ…健太君! …っはぁ…随分、と…紛らわしいの乗せてるじゃない… ッぅッ…』
さっきから信乃は、再び強く痛み出した下腹部のせいで息が荒い。
しかし彼女は、素早い動きで攻撃を除け、村雨の代わりにと持って来た刀でどんどん攻撃していき遂に、止めの一撃を食らわし、相手を倒した。
しかし少し無理をし過ぎたせいか、さっきよりもずっと強い痛みに襲われその場にしゃがみ込んでしまう。
健太「…すっげぇ… ! し、信乃姉!! だ、大丈夫か!?」
『…ごめんね、ちょっと暴れ過ぎちゃっただけだから…だい、じょぶだよ。(微笑) …健太君、ここからは1人で帰れるよね?』
健太「え? …あ、ああぁ。」
『よかった…。 ごめんね、またね…っ…。』
健太は、最後まで信乃の事を心配し渋っていたが、帰っていった。
『…はぁ、はぁ… ウッアァ… んぅっ〜…』
そして現在、信乃は1人、その場から動けぬまま不規則に襲って来る痛みに耐えていた。
しかし暫くすると、なかなか帰って来ない信乃を心配した荘介が探しに来た。
荘介「信乃ー! 何処ですかー!!」
『んんっ… そ、ーすけぇ? …っ〜』
信乃を呼ぶ声は次第に大きくなり、遂に荘介は、地面で蹲っている信乃を見つけ駆け寄った。
荘介「!! …信乃!!」
『そ、ーすけ… ごめん、ちょっと動けなくって…』
荘介「…はぁ… まったく貴女は… っ!?」
『ん? …荘介…?』
そう言いつつも、信乃を優しく抱き上げた(しかも姫抱き)荘介は、一瞬だったが信乃から感じた妖気に顔を顰めたが、そのまま何も喋らず歩き出した。