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八犬伝 -東方異聞-

第2章 境界


―リビングにて。


信乃は、リビングに着くと直ぐさまコップに一杯水を汲み、薬を水で流し込む様にして飲んだ。冷たい水が身体を通っていくのが解り、また、水の冷たさで再び腹の痛みが増し、その痛みにその場にしゃがみ込んでしまう。

『…っ…んんっ………はあぁぁ……うぅ〜…』

荘介「…信乃? どうしたんです。こんな時間に貴女が起きるなん、て… どうしたんですか!?」

痛みで苦しんでいると、近付いて来る足音と共に聞こえてきた声。その声に少し安堵した。

『んっ…荘ちゃん? …ごめんね、もしかして起こしちゃった?』

荘介「いえ、大丈夫ですよ。 …それより信乃、気配が無いですが…村雨はどうしたんです? …それに…何か血の様な臭いがするのですが…信乃、どこか怪我したんですか?」

『ふえぇっ!? …え、えっと… な、何でもない…よ?/////…ぅんっ…』


そう呟く荘介に信乃は、戸惑いを隠せず、慌てて何も無いと否定したが、瞳にうっすらと涙を溜めて、喋るのも辛そうにしている信乃を見た荘介は、半場呆れながら、言った。

荘介「…はぁ…信乃。 前に言いましたよね? 俺達に隠し事はしないって。一人で抱え込まないって。…俺達はそんなに頼りないですか。」

『あ、え… ち、違うの! っ…皆が頼りないなんて、そんなこと無い!! け、けど、これは本当に…何でもな…荘介「信乃。」…〜っ〜〜 そ、その…生理、が、来ちゃって…///』

最初は何とか誤魔化そうとしていた信乃であったが、遂に観念したのか、ポツポツと話し出した。

荘介「…生理…? 村雨はどうしたんです?」

『えっと、その…何か…暫くお休みするって…んっ…言って眠っちゃって…最近この辺空気が悪くて、動きづらいし、疲れちゃったって…それでその…っ…せ、生理周期と重なっちやって…/////』

信乃の話を聞いて、また村雨の気まぐれか…と少し呆れた荘介。

荘介「…はぁ… 信乃。理由は解りました。ですが…一人で抱え込まないで下さい… 俺達はその方が心配になるんですよ。」

『ぅぅんっ…ごめんなさい…っ…』

荘介「信乃、怒っていませんよ。…それより立てますか?場所を移動しましょう。こんな所に座っていては、身体に悪いですから。」

そう言って荘介は信乃を立たせると、主人公に合わせてゆっくりと部屋へ向かって歩き始めた。
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