第2章 境界
?「なぁー 何やってんだぁ? 信乃姉ー 荘介ー」
【バンッ】という乱暴にドアを開ける音と共にやって来たのは、村の小さな大工の息子の健太という少年。歳は浜路より少し下といったところだった。
『あら、建太君。ふふ いらっしゃい。(微笑)』
浜路「あら、健太がここ(教会)に来るなんて珍しい。」
荘介「どうしたんです?健太。何かありましたか?」
健太が信じていない【神様】が祀られている【教会】を嫌っていることは三人共知っているので、荘介や浜路は不思議そうに話している。
健太「な、何だよ二人して!! お、おれがここに来ちゃ行けないのかよ!」
健太は恥ずかしさと、普段嫌ってる所へ来た照れから、大きな声を出し、二人を睨む様にして見上げた。
『違うの、健太君。二人共そんな事を思ってはいないわ。 ・・・でも・・・何かあったのでしょう?私達に教えてくれない?』
そう言って信乃は、健太を落ち着かせる様に抱きしめ、優しく頭を撫でてやる。すると健太は、暫くして落ち着いたのか、話し始めた。
健太「・・・なぁ・・・信乃姉・・・昨日、森になんて行ってないよな・・・?」
健太は、不安を露わにした顔で信乃を見つめる。
『昨日、森へ・・・? 行ってないわ。・・・どうして?』
信乃の【行ってない】という言葉を聞いて、安堵の笑みを浮かべている健太に信乃は、再び聞いた。すると―
健太「いや・・・昨日、森の中で・・・信乃姉?を見たんだ。薄い桜色の着物着た、おれとそんなに背丈の変わらねぇ信乃姉に似たヤツを見てさ…」
『私に・・・似た人・・・?』
健太の話を聞いて何やら考え出す信乃。そんな信乃の様子を見て、荘介が心配そうにしている。しかし、ふと考えることを止めたかと思うと、普通にしていると信乃を見て、少し眉を寄せた。
『・・・ありがとう、建太君。話してくれて。・・・さぁ、もう少しで日が落ちてしまうわ。早く帰った方が良いわ。』
と言って、信乃は健太を早く家へと帰らせた。
荘介「信乃・・・ 健太は俺達に深く関わりすぎたのかも知れませんね・・・」
『えぇ・・・。建太君に何も無いと良いんだけど・・・』
荘介の言葉に、信乃は悲しげに頷き返す。
浜路「・・・ほら、信乃も荘介もそんな顔しないの! 心配しなくてもきっと大丈夫よ。」
『・・・そうだと良いけどね・・・。』
