第2章 境界
突然の誘いに焦る三人の村人達。しかし、村でも噂される程である信乃や浜路からの二度と無いような誘いとあっては、帰る訳には行かないよな、と誘いに乗る事にした。
村人1「いやぁ、こんな綺麗な二人からの誘いを断るなんざぁ男のやる事じゃぁ無いね!」
村人3「あぁ!」
村人2「まったくだぁ!」
『クスクス 三人共お上手ね。』
浜路「ホント! お世辞でも嬉しいわ! さぁ、沢山召し上がれ!」
浜路のその言葉で、一同はお茶を飲み始める。―しかし、お茶を一口飲んだ途端、浜路の入れるお茶を飲んだことが無かった三人の村人達は、凄い形相を浮かべ、声にならない悲鳴を上げた。
村人1「〜〜っ〜〜〜」
村人3「っ!?〜〇×△□※♣〜っ〜」
村人2「っ〜〜っ〜〜」
『浜路? 今日のお茶はなぁに?』
浜路「ドクダミに、センブリ、それから、〜〜・・・あ、あと・・・スッポンの肉と血をブレンドしてみたの。」
『あらあら・・・ また凄い材料ねぇ・・・』
浜路「・・・信乃?ちゃんと全部飲み干してよね。」
『ふぇっ!?』となさけない声を出し、困ってしまった主人公。実は昔から、浜路の作ってくれるハーブティーならぬ【薬草ティー】等が苦手なのである。
荘介「・・・はぁ 信乃、全部飲まなくて大丈夫ですよ。」
浜路「ちょっと!! ちゃんと健康に良いんだからね!?」
主人公は、荘介の一言に安堵しつつも、自分の性格上、浜路が自分の身体のことを考えて作ってくれた【薬草ティー】を残してしまうことへの罪悪感が拭えない。そして一人悶々としていると、横から老神父が有り得ない一言を発した。
老神父「浜路、まだおかわりあるかい? ワシおかわりほしいんだけど。」
その言葉に、浜路とおかわりを頼んだ張本人の老神父以外が「え、えぇ!?」と驚きの声を上げた。
浜路「ちょっと、もう!! 何よ!ちゃんと美味しいんだから当然の反応なのよ!? 」
一同が唖然とする中、老神父は普通のお茶を飲む時の様に薬草ティーを啜る。 一緒にお茶を飲んでいた三人の村人達は、もう完全に誰の視界にも入っていない様だ。