第1章 彼や彼との出会いかた
「あ、いや、これからはだな、もうそういうことはねーようにすっから。悪かったな」
「隙がありすぎるのが問題なんでさァ。おまえ、泣き寝入りするタイプだろィ。んなんじゃ変な男につけこまれるぜィ?」
「総悟」
「本当のことでさァ」
「あの……」
泣くかと思ったら、紗希は、困ったように笑って見せた。
「気をつけます」
やさしいのか、バカなのか。
これじゃあ本当、襲われたとき、泣き寝入りすることになるんだろうな。
「わたし、大丈夫なので。すみませんでした、お騒がせして」
遠慮がちに紗希が言った。かわいい声。
本当、そなんじゃ、たちの悪い男につけこまれるぜィ……紗希。