第4章 無茶な頑張りかた
全体会議には紗希も出席しないといけない。
作戦に参加するわけではないけれど、各隊の予定や全体の動きを把握していなければならないから。毎朝八時に集まって副長や局長の話を聞いたり、各隊長からの連絡を聞いたりする会議で、特に理由がない限りは全員の出席が義務付けられている。
紗希はこの会議に、二日連続で遅刻していた。理由は、寝坊。
最近、昼夜を問わず眠くて、眠くて仕方がない。午後の休憩時間に仮眠をとろうと横になったらそのまま日が暮れてしまったこともある。そして朝は、とにかく眠くて起きられない。目覚ましの音に気づけない。
そして今日、紗希は遅刻の連続三日目を迎えてしまった。
目が覚めた時には既に八時を過ぎていた。八時十分。意識が覚醒してくるにつれ、サーっと電気が体を遡る。
やば…………!
紗希は布団から飛び出した。ひったくるように寝巻を脱いで、隊服に着替える。顔も洗えず、歯も磨けず、鏡も見ずに、そのまま会議室まで走る。ひどい頭痛と目眩を感じながら。
部屋の襖の前まで行くと、局長の声がしていた。
一番後ろにあたる隅の襖に手をかけ、ゆっくりと開けた。大勢の隊士たちが黒い背中をこちらに向けて、真剣に局長の話を聞いている。一番後ろの一番隅に、紗希は足早に入って座った。目をとじたままの副長が、不機嫌そうにピクリと眉を動かしたよう見えた。
怖い……
なるべく小さくなって、じっと正座をしているしかない。
三日連続で寝坊だなんて……切腹を命じられたらどうしよう。
「大丈夫?」
傍らに座っていた隊士に、ちょんちょんと脇を小突かれた。いつの間にか目をつむっていたことに気がつく。
やばい……。まだすごく眠たい。
「すみません」
小声で返事し、なんとか目を開けていようと必死になる。最近夜遅くまで仕事が残ってしまうし、本当に眠すぎる。