第4章 無茶な頑張りかた
なんでこんなことを、と思いつつも、部屋に入り、押し入れから毛布を取り出す。掛けてやろうと振り返ると、はだけた着物の裾から覗く足に、つい目がいった。
なめらかな膝までのラインは、何かを履いているかのような斑模様をしていた。
何だこれと思って近づき、凝視すれば、いくつもの痣が浮かんでいるのだとわかった。そっと裾をめくってみると、やわらかそうな太ももにも、赤黒い痣や青緑に変色した皮膚がある。
「はあ……」
ついため息がでる。
花梨はこんな風にはなんねーぞ……。
同じ女とは思えないほど無頓着な花梨は、男衆の前でも平気で着替えを行う。体に受ける数が違うのも分かるけれど、花梨の体に目立つ痣はない。
あんなに手加減しているのに。紗希のこの痣はほとんど沖田がやったことになる。
毛布を掛けてやると、沖田は頭を抱えるとまではいかないものの、額に手を当て、どうしたものかと考えざるを得なくなった。
ホント、なんでおまえみたいな奴が、こんな処に来ちまったんだか……。
外はだんだん日が暮れて、部屋の中も随分薄暗くなっていた。