第4章 無茶な頑張りかた
多少の体力はついてもいい頃なのに、紗希ときたら、また夕飯も食わずに眠っている。昼間のデスクワークをやりかけたまま、畳の上に身を投げて。
ここ数日ずっとそうだ。
夜中に机に向かっているのも見かけるし、別に仕事をナメてサボっているわけではないのだろうけど。
稽古だって、一週間程、個別に見てやっているのに、上達する気配は全く感じられない。むしろ、バテるのが早くなっているように思える。
「オーバーワークか?」
寝ている紗希にそっと問いかけてみるも、腹のあたりがゆっくり膨らんだり沈んだりしているだけ。返事はない。ぐっすり眠ってしまっているらしい。
起きていたら、「そんなことない」と食って掛かってきそうなのに。
花梨の言う通り、こいつには無理なのだろうか。多少仕込めば、容姿を活かして密偵等に使えると思ったのに、これじゃあやっぱり餌にしかならない。
素人の女やちょっとわんぱくな子供にもあっさり負けるところが目に浮かぶ。危なっかしくて、これじゃあひとりで外を歩かせることもできない。
仮にも真選組の看板を背負う身として、このまま外に出せば、どんな危険が待ち受けているかわからないというのに。