第1章 彼や彼との出会いかた
「いただきやーす」
彼は笑顔でそう言った。実にたのしそうに。仰向けに倒した、紗希の上に覆いかぶさって。
いただきやーす?
なあに? と、意味を聞こうとしたら。
「…………!?」
彼は、いきなり紗希の着物の帯を解いた。
あんまりびっくりして、動けない。
「ありゃ、抵抗しないんだ。まあそっちのがやりやすいけど」
はっとして、彼の肩を押し返す。
「や、やだ! やめてくださッ」
腕を掴んで手を引き剥がそうと必死で抵抗を試みる。でも、力の差、歴然とした体格の違いを感じた。しっかりと筋肉のついた腕。両手でどんなに力いっぱい退かそうとしてもびくともしない。
着物が肌蹴て、肩がスーッと寒くなる。
「ねえッ……! やだあッ!」
「アンタさあ、嫌がってんの? 煽ってんの? どっち」
腰の上に跨って、彼はニヤリと不敵な笑みを浮かべている。重いし、怖い。どんどん帯は外され、内着の紐も解かれて着物が肌蹴ていく。肩から、お腹のあたりまで肌が曝され、太ももがはみだしてあられもない格好に。
「いい眺め」
「い、やだ……!」
「ふーん。じゃ、もっと嫌なことしてやらァ」
「やめてよぉ!」