第3章 仕事のしかた
わかっている。自分が役立たずだってことくらい、わかっている。でも、だからって、そんな言い方しなくったって……。
「一応お忍びだからな。そんな大それた事件は起きんと思うが」
「あんまりうろうろするなよ」
「……はい」
「のたくさしてたせいで、間違って斬っちまっても恨むんじゃねーぜィ」
飄々と言い捨てる沖田。この調子だと、本当にサラリと切り捨てられてしまいそう。
沖田隊長の傍には、絶対に近づかないようにしなくっちゃ。
ちらりと運転席の沖田を盗み見る。無駄のない、しっかり筋肉のついた細身のふとももが、かっちりした黒い制服につつまれている。
強そう。
容赦のない太刀筋が見えるよう。
何ごとも起きませんように。
紗希は誰にも悟られぬよう、お腹の前で両手を組んだ。祈るように。