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紗希物語【銀魂】

第2章 デートのしかた


 既に日は高く上り、みんなが仕事に勤しんでいる中、紗希は未だに自室の布団の中にいた。みんなはそろそろ食堂に向かう時間。見廻りから帰って来た隊士たちが中庭を通って行く。
 お腹もすいてきた。

「紗希、お粥もってきたわよー」

 襖をあけて部屋に入って来たのは花梨。

「食べられる? アイスの方がいい?」
「ありがとう。食べられるよ」

 体を起こす。もうだいぶ気分もいい。

 小さな土鍋の中身はたまご粥。大根や人参、鮭も入っている。普段はあまり料理をしないようだけど、紗希が風邪をひいたときにはこうやってご飯の用意をしてくれる。お粥は失敗しなくなったみたい。

「薬はここに置くからね」
「うん」

「あと、まだ調子がわるいようだったら、局長が今日は仕事しなくていいってさ。疲れが出たんだろうって」

「午後は大丈夫かも。熱だってもう下がってきてるし」
「だーめ。今日はあたしも出ないといけないし」

 仕事は覚えることがありすぎるし、忙しいしで、つい体調を崩してしまった。昨日の朝から高い熱が出てしまっていた。

「はい」

 よそってくれた茶碗を受け取る。あったかい。

「花梨ちゃん。わたし、もうそんなに気分も悪くないし気にしないで行って?」

「はいはい。午後は市中見廻ってくるわよ。最近また事件続いてるみたいだし。ホント都会はあぶないわ」

「事件って?」

「誘拐事件かもね。若い娘が何人も行方不明になってんの。吉原の遊郭でひとり見つかったみたいだから人身売買に絡んでいるのかもって。ターミナルでも子供が三人保護されたわ。地球の子供は仕事覚えるのが早いとか言ってね、連れ出される寸前だったのよ。同一犯か分からないけど、ホントに治安が悪いわ。見回り強化してるんだけどね、昨日も新しく捜索願いがでてるし」

「怖いね。保護された子たちは大丈夫だったの?」

「ケガもなかったらしいし親元に帰したわ。アンタも独りでウロウロしないでよね。田舎とは違うんだから」

 仕事が忙しいのは常ではなくて、この事件のせいなのかも。普段はもう少し、屯所に人がいるのかな。
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