第1章 彼や彼との出会いかた
「うわー! 銀さんわりと奇麗にしてるんだね」
「う、うん……まあ、昨日、掃除したばっかだから(新八が)」
かわいらしい笑みを浮かべる紗希。とりあえず部屋に入れのだが……。
「な、なんか飲む……?」
「うん! でもいいんですか? わたしも一緒にケーキ食べちゃって」
「あ、ああ、いいって。つーかなに飲む? コーヒー?」
「銀さんとおんなじ物にしようかな」
「いや、オレいちご牛乳派だし……」
「ええ? いちご牛乳? へへ、銀さん女の子みたーい。わたしもいちご牛乳好きだからそれがいい」
「へ、へえ、そう……」
普段ならパックごと口へもっていくいちご牛乳をコップにふたつ用意して、ケーキのおやつタイム。「由紀さんから」と言って渡してくれたのはケーキと短い手紙。メモと言った方がいい。『紗希だ。よろしく頼む。お前の事は、アタシの馴染みとだけ伝えてある』そう書かれていた。
紗希は、銀時と由紀との間で交わされた、あのやりとりを知らないのだ。銀時と由紀の関係も。何も知らずに、万事屋に行くよう言われてきたらしい。何も知らずに、笑いかけてくる。
つーか……。
「銀さん銀さん、わたしね」
おい、やべーよ……。
事実、ケーキを届けに来たっつーより、紗希がお届けされてきた、と言った方がいい。
「江戸に引っ越してきたばっかりなんだ。だからあんまりね、この辺わからなくって」
ひょこひょこついてきて、楽しそうに話す紗希。駅前から万事屋までの道中、話している間に緊張が解けたらしく、最初のよそよそしさや、ぎこちなさはなくなり、笑顔で、なんかもう……。
「よかった、銀さんに会えて」
キュン。
「あ……うん、そう」
おーい、なんだこれ。胸の鼓動ハンパねえんだけど。なにこれ。なにこの娘。ヤベーよ。目ぇ見れねえよ。だってすっごいきらきらしてんだもん。
つーか、え? なに? なんなのこの子ホントに。
違う。
なんかもういろいろ違う。
希少動物?みたいな。
やばい。かわいい。かわいいっつーか、なんつーか。
あいらしい。