第1章 彼や彼との出会いかた
「道迷ってんのか」
「あんまりこの辺わからなくって」
かわいらしい横顔に、つい見惚れてしまっていた。おっとりした優しそうな雰囲気がそれを許しているのかも。
「なんなら案内するけど?」
意外そうな顔をして、少女は見上げてきた。
「いやいや、この状況で男が声かけて来たらだいたいそういう流れになると思うけど。お嬢さん、どこかの令嬢? ひょっとして芸能人か何か?」
「え、ううん……あの」
戸惑いがちに言葉をつなぐ、少女。
「なに」
「なんか、わるいかなと思って……そこまでしてもらうなんて」
「ああ、頼まれればなんでもやる仕事しててよぉ」
銀時が名刺を渡すと、少女はそれをじっと見つめて、再び大きな瞳で見上げてきた。
「じゃあ、あなたが坂田さんですか?」
「そうだけど」
「これから伺おうと思っていたのが……」
少女が、握っていたメモを見せてくれた。そこに記されていたのは間違いなく、万事屋の住所と名前。
「え、なに、仕事の依頼?」
「いえ、あの、由紀さんのおつかいで」
由紀さんの、おつかい……?