第34章 『錬金術』 2
エドワードの瞳からはボロボロと涙が流れ出す。
「バカ言ってんじゃねぇよクソ親父!!二度とそんな事言うな!はったおすぞ!」
「はは。やっと親父って呼んでもらえた。」
ヴァンさんは嬉しいような困ったような、優しいほほ笑みを浮かべる。
エドワードは何かを決意したように、ぐしぐしと涙を拭いて顔を上げる。
「メイ……アルのためにこんなに泣いてくれるのか。」
メイはアルの横で涙を流す。
「ゴリさん、ザンパノ…キメラのおっさん達は巻き込まれただけなのに最後まで付き合ってくれた。」
他の二人は無事だろうか。
「ブリッグズのみんな、厳しいけど頼りになったな…」
……まだ僕の事敵扱いしてないだろうな。
「少佐はまた泣いてら。リンとランファン…自分の国の事もあるのに賢者の石を使えだなんて、お人よしすぎる。」
不法入国者のリンが、僕の幼い頃の友人だったなんてね…。
「師匠にはよくしかられたなぁ…大佐と中尉…。」
エドワード。
遺言みたいな事言って、何するつもりだ。
「ビーネ、色々世話になったな。」
何か言ってやろうと口を開いたが、言葉は喉につっかえて出てこなかった。
「……そうだ。」
ギュッと拳を握ったエドワード。
その瞳には強い光が宿っていた。
「メイ、ちょっと離れてろ。」
そう言ってエドワードがアルフォンスを中心に書き始めたのは人体錬成の陣。
「ちょっと行ってくるわ。鋼の錬金術師、最後の錬成にな!!」
止める間も説明を求める暇もなくエドワードは両手を合わせ、陣の中心に手を置いてしまった。