第33章 『錬金術』
いろんな所が痛い。
もう目を閉じて眠ってしまいたい。
こんなの夢だったらいいのに。
上へ昇っていく中、知らず知らずのうちに涙が流れていた。
「イズミ!」
「あんた!」
途中の階でみんなを見つけた。
イズミさんとシグさんが感動の再会を喜び熱く抱き合う。
リザさん、アームストロングご姉弟も揃っていた。
「大佐!ビーネ君!」
「リザさん!」
僕は足場を床にくっつけ、ロイを抱いてみんなの所へ降りる。
「ケガですか大佐!?」
「目をやられた!」
「…とゆっくりしている場合じゃないのよ。やっつけなきゃならない奴が上にいるから行くわ!」
イズミさんが、じゃあね!とアルとメイを乗せてギュン!と地上に向かって行った。
僕も大佐を置いたら追おう。
「ビーネ君?」
「親玉が地上に出て行ってしまったんだ。」
「さっきの火柱?」
「うん。」
ロイがリザさんの声の聞こえる方を振り向いて、声をかけた。
「中尉、君の傷の具合はどうだ。」
「また貴方は!ご自分の心配をなさってください!!目が」
「君はまだ闘えるか?」
思わず声を上げてしまった。
こんな状態でロイはまだ闘う気でいるのかと。
「はい!」
「リザさん!ロイも!上には僕が行くから!二人はっ」
「ハニー。私の心が折れたように見えるか?」
ロイが小さな子供を叱りつけるように強くそう言う。
「ダメだ!あいつは危険すぎる!ここに残ってくれ。」
「私の焔は役に立たないというのかね?」
「そう言う事じゃないよ!」
「ビーネ君。大丈夫よ。大佐も私も大丈夫…。」
「……。」
僕はもう小さな子供ではないのに、ロイは僕の頭をポンポンする。
少将たちが動き出したようだ。
アームストロング少佐が全員を乗せて上に行くようだった。
「ハニー、先へ行こう。」
「うん…アームストロング少将!僕らは先に行きます!」
「待て!ヒューズ!」
足場を錬成していたアームスロトング少佐をよそに、僕はロイとリザさんを乗せて地上を目指した。