第32章 『再・再構築』 3
さらに威力を増して襲ってくるエネルギー派。
次にホムンクルスは僕らの足場を狙ってきた。
阻止しようと僕とエドが両手を合わせるが、やはり錬金術は発動しない。
「術が発動しない!!!」
もう終わりかと腹をくくらなければと覚悟した時、突然足元に円が浮かび上がり、足元を破壊してくるホムンクルスの錬金術を誰かが防いだ。
「メイ!!」
「地面の防御はお任せくださイ!!」
アルフォンスの叫びで一気に彼女に視線が向かった。
「地の力の流れを読み利用するのは錬丹術の十八番!!しかもその力が大きければ大きいほド…こちらの利用できる力も大きくなるんでス!」
…錬丹術。
土壇場で抵抗する術を見つけもがく僕らをみたホムンクルスは、攻撃の手を緩めることなく次の手に移る。
「神を手に入れた私は今や、掌の上で疑似太陽を作ることも可能だ。」
太陽!?
「太陽って…核…融…」
「消えて失せろ、錬金術師。」
ドクン。
「気付いたか?さっきからずっと聞こえている心音に。」
くすぶり始める狼煙の炎。
「この国の人々の魂は精神という名の紐でまだ身体と繋がっている。完全にお前の物になっていないという事だ。」
「……何をしたホーエンハイム。」
「長い年月をかけ計算に計算を重ね。この日のために俺の中の賢者の石を…仲間を各地に配置しておいたのさ。」
ヴァンさんがこの時のために大切にしてきた反撃の狼煙。
「何をする気か知らんが、ただポイントに賢者の石を撃ちこんだだけか?それで何ができる?錬成をするにしても円というファクターが無ければ力は発動せん。」
「円ならあるさ。」
立ち上り始める煙。
「時が来れば勝手に発動するようになっている。空から降ってくるとびきりでかくてパワーのあるやつがな!!」
その煙は太く濃く空高く上る。
「日食によって大地に落ちる月の影…本影だ!!」
「じゃまをするかホーエンハイム!!」
「そのためにここに来たんだよ、フラスコの中の小人!!!!」
ヴァンさんの錬成陣が月の影がもたらした本影に重なり術が発動する。