第31章 『再・再構築』 2
そう、発言したのはホムンクルスの親玉、お父様。
「働いてもらうぞ人柱諸君!」
アルフォンスが意識を取り戻し、6人になった人柱。
必要なのは5人のはずだ。
だとすれば誰か一人はまだ自由で、僕らを助ける事ができるのではないかと期待を持ったが、お父様が捕まえたのは、僕、エドワード、イズミさん、アルフォンスの4人。
奴の腹の中にいるヴァンさんを入れての5人。
放っておいても害にならないだろうと判断されたロイは、その場で眉をしかめたままあらぬ方向を睨みつけているだけだった。
「時は来た!」
…ついに。
「おまえ達は地球を一つの生命体と考えたことがあるか?いや、生命というよりはシステムと言うべきか。人間ひとりの情報量などとるに足りない、莫大な宇宙の情報を記憶するシステム…その扉を開けたら、一体どれほどの力を手に入れられるか考えた事はあるか?」
そんなもの手に入れてどうする!とか、お前も結局は欲の塊だろ!とか、色々叫んでやりたかった。
「その扉を人柱諸君を使い、今ここで開く!」
目の前で進められる理解の範疇を越える錬金術に声が出なかった。
「へぇ。中心はそこかい。親父殿、世界の中心を俺によこしな。俺は…世界を手に入れる!」
突然お父様の背後に現れたグリード。
「来ると思っていたよ、我が息子グリード。」
グリードが一撃を喰らわせ、拘束されていた僕らが解放されたかに見えた。
「お前は私から生まれた『強欲』だからな…私が欲しいものはおまえも欲しいものなぁ…!」
しかし、相手は特定の形状を持たない黒い物体。
グリードの攻撃も虚しく、僕らは解放されることなく、移動するお父様と共に乱暴にまた床にたたきつけられた。
「真の中心はここだ。」
お父様が移動したのは自分の居場所であろうデスク。
ヴァンさんが抵抗を試みたが、一歩及ばなかった。
ドン!と奴の手が、デスクに置かれた錬成陣に置かれ術が発動してしまった。
激しい錬成音。
ここで喰いとめる事が出来なかった。
「神よ!我が魂に応えよ!!来い!!」
くそ!くそっ!