第31章 『再・再構築』 2
先ほどの攻撃を避けたプライドが今度はこちらに向かって攻撃を飛ばしてくる。
迫る影はそれほど威力が無いのか、エドワードが腕で簡単にはじき返す。
僕を狙ってくる影も目で追って避けられるほどの速さでしかない。
「どしたどしたァ!ずいぶんぬるい攻撃じゃねーか!」
「勘違いしないでください。君たちは役目を終えるまで…」
「生かしてやってる。ってか!?だったらその前にてめえらぶっ倒すまでだ!」
チリッ!と唐突にプライドの緊張が高まった。
「倒す?やってみてくださいよ。」
プライドのそんな声と共に、先ほどとは打って変わって威力のある攻撃が、いっきに僕を襲う。
「うわ!」
無様に避ける事しかできず、先ほどまで背中を合わせて戦っていたエドワードから意図的に距離を取らされる。
「貴方は随分厄介ですからね。」
足元を破壊されバランスを崩し、さらに地面をえぐって瓦礫の下敷きにされた。
幸い怪我は無いが、上手い事両腕を瓦礫に挟まれ今すぐに脱出できるような状況ではない。
僕が動けなくなったのを睨むように確認し、次はすべての攻撃をエドワードに向かわせる。
一人ずつ相手にする気か。
「ビーネ!」
「僕はいい!プライドを!」
「っ!こんのやろぉ!」
エドの繰り出した拳は簡単にプライドに避けられてしまった。
「君は小柄だから、自分より大きい者とばかり戦ってきた、つまり…自分より小さい者と戦った経験が少ない!」
攻撃を避けたプライドは、エドワードに一撃を喰らわせる。
しかし、そんなもので怯むエドワードではない。
とっさに身を翻し反撃を試みる。
「確かに俺はでけぇのばかりと戦ってきた!だからこそ…チビの攻撃パターンはよくわかるんだよ!」
ようやく瓦礫を抜けだして、二人の方へ駆け寄った時、ゴツ!と鈍い音がし、エドがプライドに頭突きを喰らわせたところだった。
それとほぼ同時に、ガチャガシャン!とアルフォンスの立ち上がる音が聞こえ、視界の端で捕えていた倒れるメイの方へ駆け寄るのが見えた。
「アル!」
戦況が変わる!そう期待を持った次の瞬間だった。
ぐにゅん。と黒い触手のような物が伸びて来て、避ける暇もなくそれに捕まってしまった。
ギリギリと締めつけて来るそれからは逃れられそうにもなかった。
「どうやら時間が来たようだ。」