第31章 『再・再構築』 2
ふらりと歩きだし、躓いて転びそうになるロイの腕を捕まえる。
嘘だろ…!
「目が見えないのですか?」
セリムの嘲笑う声が僕らの耳に響く。
「それはいい。今の国家錬金術師の中で貴方の能力も厄介ですから……そこで打ちひしがれていなさい。」
「真理は残酷だ。」
『お父様』は僕らを一周ねめつけながらそう言う。
「身の程をわきまえず亡き家族を蘇らせ、母のぬくもりを求めたものは…立ち上がる為の足と、ただ一人の家族を持って行かれ、もう一人はぬくもりすら感じられぬ姿に。」
エドワード…アルフォンス…
「父に息子として、仲間として認めて欲しい、愛してほしいと願ったものは、認めあえる仲間を失い、愛する仲間を失い、たった独り生かされた。」
父上…ジプシーのみんな…
「無くした子を求めれば、二度と子を与えられぬ身体に…」
イズミさん…
「国の先を見据えた者は視力を持って行かれ、その未来を見る事がかなわなくなった。」
ロイ…
「人間が思いあがらぬよう正しい絶望を与える。それこそがお前たち人間が神とも呼ぶ存在…『真理』だ。」
神とは…真理とは……僕らはそれほどまでに愚かだったのでしょうか。
「さぁ…今ここに人柱が、5人!」
歓喜に満ちた表情、押さえきれぬ狂喜。
僕らは戦慄した。
と、この空気をぶっ壊すような轟音とともに天井からメイが降りて来た。
僕らの側に無事着地して、一言。
「いタ!」
『お父様』の方を睨みつけながら言う。
「外見は変わっていますがその気配…不老不死の親玉さんですネ?」
「正解。どうやってここまで?」
「真下でしタ。」
真下?と疑問はあったが、彼女たちシンの者たちは気配を察知するのに長けている。きっとそのおかげだろう。
「どうしたんですかアルフォンス様!」
「わからない、意識が無いようだ。」
イズミさんがロイをアルの側に連れてきながらメイにそう告げる。
「ロイ。扉を見たって、人体錬成を?」
「私がそんな事をすると思うか!?」
「…リザさんに何かあったのかと思ったんだ。」