第31章 『再・再構築』 2
「アル起きろ!こいつはやばそうだ…アル?」
「起きないんだ…。」
「え?」
目の前のホムンクルスを睨みつけながら、エドワードにそう言う。
「さっき、こいつは一人足りないって言ったんだ。ここには5人の人柱が既に揃ってしまっているというのに。」
「…一人作って来てくれってのは、そう言う意味だったのね。」
くつくつと笑うホムンクルス。
「理解が良くて助かる。ジプシーの錬金術師よ。」
今、アルフォンスが目覚めてしまう前に目の前の奴を倒してしまうのがいいか。
ここは一旦、イズミさんとエドワードの三人でバラバラに走って逃げる方がいいのか。
頭の中でたくさんの考え事が、再構築されては分解していく。
じりじりとにらみ合いが続く。
と、その時。僕らの頭上に錬成音とともに円が描かれた。
何が始まるのかと身構えると、円からロイ・マスタングが再構築されて落ちてきた。
「ロイ!」
「大佐!?」
そして、『お父様』の隣に上の階からずるりとセリムが降りて来た。
「足りなかった5人目です。父上。」
「うむ。」
揃ってしまった…!!!
「う…っ。」
「大丈夫かよ大佐!」
落ちた時にでも打った頭をさすっている。
「鋼のか…何処だここは。」
「例の『お父様』の所だよ。ロイ、一体何があった?」
「ハニーも居るのか…真っ白い空間の大きな扉の前に放り出されて」
「「扉!?」」
エドと目が合う。
同じ事を考えたのだろう。
「どこ持ってかれた!足あるか!手はあるか!」
エドワードが遠慮なくロイの足を掴み無事を確認する。
「どっちも付いてる……?」
「なにをする!そこにいるのか二人とも!」
ロイの焦ったような声。
そこにいるか、だって?
思わず声の漏れる僕ら。
「真っ暗で何も見えん。ここはどこだ?明かりは?……何も、見え…ん。」
ロイ。
「ま、さか……!」
「ロイ!」