第30章 『再・再構築』
「撃ちたければ撃てばいい。だが私を撃ち殺したその後、君はどうする。」
「私一人。のうのうと生きていく気はありません。この闘いが終わったら、狂気を生み出す焔の錬金術を、この身体もろともこの世から消し去ります。」
グ。と指先に力を入れたロイ。
向かった炎の先はエドの腕ではなく、僕らの間の壁だった。
「それは困る。君を失う訳にはいかない。………何なんだろうなこの状況は。」
悪魔が、消えた。
「子供に怒られ、私を敵と狙っていた男に諭され。君にこんなマネをさせてしまった。私は大馬鹿者だ。銃を降ろしてくれ中尉、すまなかった。」
僕らとエンヴィーに背を向けその場に座り込むロイとリザさん。
思わず駆け寄っていた。
「ハニー…。」
「僕が、僕が……」
僕が悪かったんだ。弱かったから。守れなかったから。もっと力があれば。
混ざり過ぎて言葉にならなかった。
「バッカじゃないの。」
エドワードの手の中から聞こえたエンヴィーの声。
「綺麗事並べてさ、人情ごっこかい?虫唾が走る!あんたらニンゲンはそんな御大層なものかよ!本能のままにやりたい事やっちまえよ!」
鋭く切り刻むような言葉。
「マスタング大佐!スカーはあんたの命を狙ってたんだぞ?なぁおチビさん!あんたの幼馴染の両親を殺したのもスカーだよなぁ!なぁ!?」
けれど、もう僕らの心は
「そうだ!イーストシティのあの女の子!犬と合成されたあれ!あれも殺したのスカーだろ!?そして、このエンヴィーが引き金を引いたイシュヴァール戦!あっはっは!おかげでいっぱい人殺しできただろホークアイ中尉!」
傷つかない
「スカー!目の前に仲間を大量虐殺した男と女がいるんだからこんなチャンス無いだろ!」
もう、傷つきすぎた
「エイドスとか言う男はやりがいがあったなぁ!まぁ俺には敵わないけど!ヒューズの息子!この俺が殺したんだぜ!?あんたの恩師も父親も!ははは!!豪華な面子だ!憎んで泣いて殺して殺されてのたうち回れよ!地を這いつくばれよ!仲良く手ぇ繋いでなんてあんたらクソ虫どもにできる訳ないだろ!」
だからわかる、エンヴィー、君は