第28章 『再・分解』 3
向かった第三研究所の前には、何故か気絶した兵が倒れている。
廊下を進んだ先、ロイがここだ。という所は雑な錬金術で壁が作られているだけだった。
「間違いないな。私がやろう。」
トラックを降りてここまで来たのはリザさんと僕とロイ。
リザさんは銃を構え、僕は両手に短剣を持つ。
この壁の先から誰かが戦っている音が聞こえて来ている。
ドゴォ!とロイの炎で壁を飛ばした。
そして、その先にはやはり。
「手を貸した方がいいかね?鋼の。」
「いっつもいいところでしゃしゃり出て来やがるな、大佐!」
まだまだ威勢のいいエドワードたち。
「む…傷の男!」
「話はあとだ!さっさと闘え!」
ごもっとも。
「この白いのを倒せばいいのね?」
「無理だ中尉!」
「こいつら銃程度じゃ倒せない!」
手を休める事のないエドワードたちとは打って変わって、落ち着いた様子のロイ。
確かに。銃で倒せないのなら…。
「悠長に構えてんなよ!とっとと手伝え」
吠えるエドを黙らせるように、ロイは指先に力を込めて、敵の足を焼き尽くす。
久しぶりに見るロイの錬金術に武者震いをしたのは誰にもばれていないだろう。
「この程度で手こずっているようではまだまだ。」
ポカン。とする一同。
しかしロイも詰めが甘い。
炎を逃れた白い者たちが一斉にこちらに向かってくる。
ロイがもう一度腕を上げたところで、僕が前に出る。
ぱんっ!と威勢よく合わせた掌。
前に突き出し目に見えない水分をわしづかみにする。
握ったその手の中のモノを地面にたたきつけるようなしぐさをすれば、白い者たちの足元から氷が付き出て一瞬で身体を引き裂いた。
水の凍る独特のパキパキ、ともキンキンともつかない高音がやがて消え、急激な温度変化で起こったもやも晴れる。
「ロイもまだまだ。」
「恐れ入ったよ。」
と、その時天井に穴があき何かが落ちてきた。