第27章 『再・分解』 2
あっけらかんとそう言ってしまう所を見ると、前ならばぶん殴っていたかもしれないが、今、その言葉を聞くと安心してしまう自分がいる。
「俺、ウィンリィの事、好きなんだ。」
「うん。」
「あいつ、俺の事どう思ってんのかなって。」
しばらく、うーん。と首を捻ってようやく口を開いた。
「たぶん。ウィンリィさんは君の事好きだと思うよ。君たちの事を思って、北まで行くぐらいだからね。」
確信めいた答えが返ってきて、ホッとするべきなのだろう。
けれど俺はなぜだか余計に眉をひそめてしまった。
ビーネはそれを見てクスクスと人を笑う。
睨み返せばまた笑った。
「エド。なんだいそれ?まるで興味のない人から好意を持たれてしまったみたいな顔してるよ。」
目的と違う女の人を引っ掛けてしまった大佐みたいだ。と言いやがる。
「自意識過剰かもしれないけど。僕は君の恋愛ごとに首は突っ込まない。僕は別に本気で君と恋人になりたいとか、そういう意味で行っている訳じゃないよ?」
「わ!わかってるよ!冗談なんだろ!」
「そうそう。だから君はウィンリィさんの気持ちに答えてあげればいい訳だ。」
清々しくきっぱりとそう言い切るビーネ。
なんだよ。
俺、何でこんなに悩んでんだよ。
俺はこいつの事好きなんかじゃねェよ。
「……ほんとにか?」
「ん?」
「ビーネ。」
「なに?」
「ウィンリィ。」
「え?」
違う。
守ってやりたい。
この手で、この俺自身の手で守ってやりたい。
「エドワード?」
俺はアルと一緒に家族を守るんだ。
でも、俺はこいつを………
「ビーネ。」
「だから何。ってか、そろそろ行くよ。」
「ちょっと待て。」
珍しく眉をひそめ、用があるなら早くしろ。と言わんばかりに立ち上がり、俺の前に仁王立ちするビーネ。
太陽の光を浴びてキラキラと金糸のようになびく髪。
空の色をそのまま移したような瞳。
端整で凛としているビーネ。