第27章 『再・分解』 2
「僕も君も生きてて良かった。」
ようやく憑き物が落ちたように笑うビーネ。
心の中で繰り返し思い出してきた、こいつの笑顔。
もう一度見たいと願った笑顔。
『大好きなんでしょ?ウィンリィちゃんのこと。』
中尉が唐突に言った言葉が蘇った。
どうして今?
「あぁ。」
ビーネの笑顔に短く返すのがやっとだった。
北部で、彼女に腕を治してもらった時、確かに俺はウィンリィの事を意識してしまった。
俺は、確かに、あいつの事が好きだ。
そりゃ!小さい時からずっと一緒だったし、な。
でも、あいつは俺の事どう思ってんだろう。
「難しい顔してどうした?」
「え?あ、いやぁ…」
穏やかな表情で俺を心配してくれるビーネは、今この時が厳しい状況だという事を忘れさせてくれそうだった。
どうしても、その顔に俺の頬は緩む。
ウィンリィとは違う不思議な感情。
「悩み事なんていっぱいあるだろうね。僕もそうだ。」
「確かに、たくさんあるな。数えきれねぇよ。」
今なら聞けるかもしれない。
「なぁ、ビーネ。お前さぁ恋人とかいる?」
ドキドキしながら奴の方を見てみると、キョトンとした顔でこちらを見ているだけだった。
「え?」
「あ、いや、いないけど…って、急にどうしたの?君がそんな事僕に聞くなんて。」
それに、と言葉を続けるビーネ。
「僕が今好きなのは君だ。そう言ったじゃないか。」