第26章 『再・分解』
国家錬金術師。
錬金術。
旅に暮らしていた昔の事。
父親の人体錬成。
一度目の罪。
自らの人体錬成。
二度目の罪。
償えぬ大罪。
「賢者の…石…。」
エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック。
似通った境遇。
友達。
仲間。
恋慕。
憧れ。
「エド、今どこにいるのかな。」
同じ罪をおかした者同士、決して癒える事のない傷を持つ。
償っても償いきれない罪。
一緒に追い求めた真実は確かに希望をもたらした。
アルフォンスの身体はまだ生きている。
でも、僕は、僕の仲間たちは…
「真理…」
真理の扉の中で……?
きっと僕を恨んでいるだろう。
償うべき目的のない、背負い続けなくてはならないモノ。
「父さん。」
だから、僕は。
生きろと言って僕を抱きしめてくれた父さんを、母さんを…。
大切だと思えた人たちすべてを。
この命を賭けて守る。
じりじりと沈んでゆく太陽。
刻々と近づく『約束の日』