第25章 『再・理解』 4
「俺を信用してくれて、ありがとうな。嬉しいよ。」
「……うん!」
ようやく嬉しそうに笑ったヴァンさん。
空気が和み、アルフォンスも嬉しそうにする。
「ビーネ。ビーネは一体どうしたの?なにがあったの?」
「うーん。簡単にいえば、手っ取り早く軍から逃げるためかな。ほら、よく言うでしょ。敵を欺くにはまず味方からって。」
「そうだけど…。」
ちょっと衝撃的過ぎだよ…。と呆れるアルフォンス。
考え込むような真剣な顔をしたヴァンさんが口を開いた。
「なぁ、話せば長くなるんだ。エドワードにも聞いてもらいたいんだが。」
「あ…それなんだけど実はさ…」
言いにくそうにするアルフォンスに僕とヴァンさんは彼を注視する。
「兄さん…行方不明なんだ……。」
「……へ?」
「え?行方不明?」
「…うん。」
あのエドワードが行方不明。
僕が死んでいる間に一体何があったのだろうか。
「うーん…簡単に説明すると。スカーと女の子、メイちゃんって言うんだけど。その人たちと北の鉱山で合流したんだ。」
アルフォンスの話では、僕が死んだあとすぐにラッシュバレーから大総統の手配でウィンリィさんがブリッグズに寄こされた。
もちろん体の良い人質だ。
その人質のおかげで、エドワードは中央から来たキンブリーの手伝いをさせられた。でも、その現場にはスカーと探していた女の子メイと、マルコーさんもいた。彼らとエドワードの利害は一致し、一悶着あって手を組むことになった。味方のいるブリッグズ砦にスカーたちを向かわせようよしたが、砦が中央軍の者が入り、アームストロング少将も中央に連れて行かれた。
「で、ボクはみんなにその事を伝えるために兄さんと別れたんだ。」
「じゃぁ、エドはその間に行方不明になった。」
「その後捕まえたエンヴィーっていうホムンクルスが、兄さんは炭鉱が崩れてそこで行方不明になったって…。」
炭鉱が崩落か……。
「え?ホムンクルスを捕まえたって?」
「うん。マルコーさんが頑張ったんだ。ついこの間の話だよ。」
ホムンクルス相手にタイマン張ったのか!?
いやいや、さすがにそれは無いだろうけど、やるなマルコーさん。
久しぶりにアルフォンスと話が出来て、トゲトゲしていた心がほぐれていくようだった。
「そろそろ、俺の話もいいかな?」