第25章 『再・理解』 4
「おーい、セルヴァイン。見ろアルフォンスが来たぞ。」
ひらひらと大きくこちらに手を振りながらこちらに向かってくるヴァンさん。
軍手の甲で額の汗を拭う。
「え?!」
「あぁ、やぁ。アルフォンス。」
「と、父さん今セルヴァインって…?」
疑問ももっともだろうし、僕に聞きたい事もたくさんあるだろう。
しかし、このリオールの町では、僕はヴァンさんの息子でたぶんアルフォンスの兄になるだろう。
「アル、忘れた訳じゃないだろう。お前の兄だぞ。兄。」
「酷いねアル。このセルヴァインの事を忘れるなんて。」
キザっぽくアルフォンスに向かってウィンクして見せると、きょとんとした様子のまま、あ、うん。久しぶりだね兄さん。と苦し紛れに言ってくれた。
しばらくアルも復興作業を手伝って、三人でようやく一休みの時間を取れた。
「地下トンネル?」
「そう。この町の地下に巨大なトンネルがあるか確認しに来た。」
「ちょっと待て。人目のない所に行こう。」
アルフォンスがここへ来た理由は、やはり僕と一緒のようだった。人造人間たちが作った地下トンネル。それが本当に完成してしまっているのか。僕の場合は破壊してやろうと思ってここに来たが…。
「…ふうん。つまりその国土錬成陣の発動を阻止しようとしている訳か。」
「うん。」
ヴァンさんは何も言わず、ただただアルフォンスの話に耳を傾けていた。
だから僕も口を開かずにじっと待った。
「そのためにリオールに来たら父さんと死んだはずのビーネがいてびっくりした…と同時にラッキーと思ったよ。」
「どうしてだ?」
「中央の地下で父さんにそっくりな男を見たんだ。父さんとは無関係とは思えない。会ったら聞こうと思ってた。」
アルフォンスはやっぱり素直だ。
ヴァンさんは終始無表情でアルの話を聞いていた。
目の前にいるのが本当の父かどうかと疑ってかかる事をしなかった。
けれど、やはりそこは親子なのだろう。
無条件で信用してしまうほどに家族なんだ。
「こんなにペラペラしゃべって、俺からあっちに筒抜けになるとは考えなかったのか?」
「あ………。」
まぁ、アルにはいい教訓になるだろう。