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七色の雫 ~生きる道の再構築~

第25章 『再・理解』   4





貴重というくらいなのだから、さして人数がいるとも思えない。
そして、ヴァンさんが前回の生き残りであるなら、今回はそのヴァンさんの血を引いているエドとアルが適任であるという事なのだろうか。

「人柱には、錬金術の知識に長けている人物が適任。人柱は5人必要なんだ。」

錬金術に長けた人物というのは軍が国家錬金術師として集めている。
その、国家錬金術師すべてが人柱だったというのなら、エドの言葉に少し矛盾が生じる。
中央で、ホムンクルスを捕まえる際、エドは自分がスカーに襲われれば、自分を殺させないためにホムンクルスが出てくるのではないかと言っていた。
ならば、スカーはホムンクルス側にとって最も邪魔な人物だったのではないか?
国家錬金術師殺しをしているのだから、全力でスカーを排除しなければならないはずだ。しかし、そこまで密に追っている様子は無かった。

「何か、人柱には決まった法則があるのかもしれません。」
「ほう。」

僕が直接見たスカーの犯罪は、東部でタッカーさんを殺された時だ。
あの時、ホムンクルスの影なんて一切なかった。
では、タッカーさんは人柱ではなかった。
グラン准将もあっさりって感じだった。
では、なぜ。
錬金術師の違い?
では、エドワードとアルフォンス。それからタッカーさんとグラン准将。
後は、ロイ、アームストロング少佐、僕……。

「俺が知っている錬金術師に、イズミさんという人がいる。」
「あ、イズミ・カーティスさんですね。僕もお会いした事があります。」
「彼女も人柱候補だろう。」
「イズミさんも?」

どうして、イズミさんなんだろう。
エドワード、アルフォンス、イズミさん。
この三人に共通する事。
ヴァンさんの血筋でなければならないという線は潰された。
錬金術の質?
正確で的確。いや、まず僕はイズミさんの錬金術は見たことない。
彼女は簡単に錬金術を使うような人ではない…。
それでも、ヴァンさんはイズミさんが人柱であると判断したのだ。
あの師弟に共通する事、天才的な錬金術の勘……今となってはその勘というのが扉を開き真理を見たことによるものだ。
あ。

「真理…真理ですか?」


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