第25章 『再・理解』 4
まずはこの国の状況をしっかり把握しなければならなかった。
僕が掴んでいる情報は断片的で、大総統の手によってかなり削られた物になっている可能性も疑えたから。
「で、ヴァンさん。」
「なんだい?」
「僕の養父…マース・ヒューズをあんな目に合わせたっていうのがエンヴィーでしたよね?あと、僕が会ったのはグリード。他にもいるってことですか?」
「あぁ、エンヴィー、グリードの他に、ラスト、スロウス、グラトニー、ラース、プライド。君たちの大総統、ブラッドレイはラースだよ。」
昼間はリオールの復興を手伝い、夕食後は大量の情報を紙に書き出し、自分なりに整理している。
「えっと、僕の情報だと、既にラストは亡くなっていると思います。アメストリス軍のロイ・マスタング大佐が撃破したと聞いていますから。」
「しかし、奴らは石と器さえあれば何度でも生き返る。」
「はい。グリードがいい例です。」
がりがり。と色々な文字と文字を線でつないだり書き込んだり、誰が見てもただの落書きにしか見えなくなってきている。
「敵の数と賢者の石の関係は何となく理解できました。次に疑問なのが、クセルクセスの国土錬成陣で、なぜ、拠点となる街々を襲ったのですか?錬成陣を脅かすからとかそういう理由ですか?」
「いいや。国土錬成陣を完成させるには拠点に血の紋を刻む必要がある。」
「血の紋。」
「うん。それ相応の血の紋を…クセルクセスの時もアメストリスも同じだ。こっちだと、たぶん、内乱や戦争がその拠点になってないかい?」
「はい。なっています。」
「でも、それだけじゃ錬成陣は発動しない。仕上げに人柱という人物が必要になる。」
人柱……。
「たしか、エドがそんなような事を言ってました。俺たちが貴重な人柱とかなんとか。」
ヴァンさんは顎に手を当てて何か考え込んでしまった。