第14章 Ephemeral(黄瀬涼太)
涼太は、長細い風船にポンプで空気を入れた。
あっという間に空気が入って形を変えていく風船が、なんだか可愛い。
手早く口を結ぶと、キュッキュと風船を捻ってソーセージのように、節を作っていく。
「すごいね、割れないの。なんか割れそうな音なのに」
「うん、コツ掴むと意外と割れないんスよね。慣れるまでは何個か割ったけど」
小さい節を作る時はギュッと音がするので、割れてしまわないかちょっとドキドキするけど、涼太の手は止まらない。
「見てて飽きない? 映画でも観るっスか?」
「ううん、魔法見てるみたいで楽しい」
涼太は長い指を器用に操って、大きな星型の風船……バルーンアートを完成させた。
「すごい! これ、今年のお誕生日イベントのポスターになってたやつだよね?」
「そうそう、やっと何にも見なくても作れるようになったんスよ」
今年のお誕生日イベントのテーマはバルーンアートらしい。
普段あまり着ないようなポップな衣装が可愛らしかった。
「今年もファンミーティングなんだよね? そこでもこれを配るの?」
「ううん、配るのはも少し簡単なヤツ。その場で好きな色選んでもらって完成させる感じだから、ささっと出来るようにしなきゃなんスよね」
涼太は今度は黄緑色の長細い風船を手に取った。
簡単なヤツ……何を作るんだろう?
大きな手は器用に風船を捻って、回して……あっという間に、星型のバルーンが完成した。
さっき作った星型はバルーン二本を使っていたけれど、今作ったのは一本だけで、手で描いた五芒星みたいな形だ。
「えっ、すごい、これもお星様だ!」
「なかなか可愛いっしょ?」
「可愛い! さっき作った星とは形が違うね」
「うん、あれやろうとすると結構時間がかかるんスよね。予め人数分作るって案もあったんスけど、場所もそんな取れないし簡易的なやつをその場で作って渡そうって、オレが提案したんスわ」
確かに、先ほど作った星とでは手順の多さが全然違う。
さっき作ったバルーンは、何回も捻って、回して、くぐらせて、途中でもう一本足して……これを当日作るのは難しいだろう。
スタッフさんが下準備をしておいてくれて、涼太が仕上げだけをする流れらしい。