第14章 Ephemeral(黄瀬涼太)
「……は、っ……」
ずっと、ずっとキスしてる。
からかうように触れて、離れたと思ったら今度は口中を蹂躙されるくらい深く。
体勢を変えて首に回した腕にも、力が入らない。
合間、呼吸を整えるのに必死でなんにもままならなくなってしまう。
それに……すぐ、あちこちがじんじんしてくる。
頭はぼんやりしているのに、身体は熱を持ったようになってる。疼いてくるのを止められない。
涼太にとってこの行為はそんなに深い意味はなくて、ちょっとした夫婦のスキンシップとかコミュニケーションのはず。
だから私も同じくらいの温度で受け止めなきゃいけないのに、どんどん勝手に上がっていく体温。
どれだけ一緒に居ても、何回しても慣れなくて。
「りょう……た、明日、早いん……だし」
「……ん? そうスね」
不思議そうに眉毛をあげたと思ったら、何事もなかったようにまた唇が重なる。
今の言い方って、なんか誤解を招くだろうか。
直接、この先を誘われてる訳じゃないのに、早とちり?
別に、彼にそんなつもりはないかもしれないのに。
「待って、あの、これ以上はだめ……だめな感じに、なる、から」
「する?」
なんでそんな優しい声、出すの。
「だめ、涼太、疲れてるんだから」
この甘い雰囲気に流されるところだった、危ない。
今日は涼太は朝方までお仕事して、更に午後にまたお仕事しにいって、帰って来てお仕事の準備をしていたのだ。
しかも明日は早くから一日中イベント。
もう、一刻も早く休んでもらわなければ。
「んー、じゃあ軽くとか?」
ちょっと一杯飲んでいく?
そんな感じで聞くものだから。
「……軽く、って? 少しだけ挿れる、みたいな……?」
「……ぶ、何その拷問」
涼太にそう返されて、自分がいかにおバカな事を言ったのか自覚した。
おでこを合わせて、二人で笑った。