第122章 女にも性欲はある。
そして添乗員は拡声器でアナウンスを続ける。
「なお、原則お連れ様と同室とさせて頂きます。別室ご希望の場合は添乗員にお申し付け下さい。順次、客室へとご案内させて頂きます。」
(葵咲:あんな失態を犯したんじゃ土方さんと同室にしてもらうわけにはいかない。別室を申し出よう。てかさっき思いっきり拒否られたし。)
どのツラ下げて同室にいられようか。気まずい事この上ない。葵咲が鎮座からゆっくりと立ち上がると、土方が静かに口を開いた。
土方「…同室で良いんだな?」
葵咲「はい。同室で…。ってえぇ!?なんで!?」
“別室で”と言われたものだと思い込んでいた。だが同室と言われた事で思わずオウム返しの二度見をする。大きく目を見開く葵咲に、土方は変わらぬ平然とした態度で言葉を返す。
土方「さっきのアレ、お前の本心なんだろ?」
葵咲「っ!!!!!」
先程の攻防を思い出す。自分が何を言ったのか、一言一句はっきりと覚えている。葵咲は顔を真っ赤にして言葉を詰まらせるが、やがて慌てふためきながらも土方の真意を尋ねた。
葵咲「あ、いや、その…!っていうか、…え?…引いてないの?」
土方「驚きゃしたが、別に引いちゃいねーよ。」
てっきりドン引きされているものだと思っていた。だが土方の顔を見ても、その表情に噓偽りは見られず。本心を語っている様子。ここで葵咲は己の中にある一つの引っ掛かりを口にする。
葵咲「でも、さっきめっちゃ嫌がってたじゃん!」
土方「こんな屋外で出来るわけねーだろ!」
葵咲「あ…っ!」
自分に迫られるのが嫌で抵抗されているのではなかった。よくよく考えてみればそれもそうだ。こんな野外で、しかも公の場で出来るはずもない。抵抗されて当然である。葵咲は再び赤面した。