第121章 異国のマナーは一朝一夕では身につかない。
頭に過った冷静な見解。だがそれを考える頭と口は別の動きをする。
土方「このような存在は貴殿以外、誰にも務まらないと思います!」
(土方:さっきから何言ってんだ俺ァ!止まれ!止まれ俺の口ィィィィィ!これ以上言うと取り返しがつかなくなるぞ!やめろォォォォォ!)
喧嘩の時と理屈は同じだ。頭では分かっている。これ以上言ってはならない。言ったら取り返しが付かなくなる。だが、もう引っ込みが付かない、後戻りは出来ない。そんな状況だ。もう止まれない。そしてその口は止まる事なく、最後の決め手の言葉を吐き出してしまう。
土方「貴殿の本心をお聞かせ願えますでしょうか!!」
やっちまった。そう思うも、言ってしまった言葉は引っ込められない。その場に沈黙が降りる。葵咲は土方からの言葉を受け取り、少し困ったような表情を浮かべて目を泳がせていた。
葵咲「・・・・・。」
答えるに答えられない。そんな葵咲の態度を見て、土方は空気を読んで言葉を放つ。
土方「…悪い。嫌な気持ちにさせちまった。」
葵咲「え?」
思い掛けない土方からの言葉に、葵咲は顔を上げて土方に目線を合わせる。一方土方は葵咲から目を逸らし、水面へと視線を落として静かに言葉を紡いだ。
土方「立場上、お前が断りづれぇのは分かる。無理させちまったな。」
葵咲「違っ!そうじゃなくて…。」
慌てて首を横に振るう葵咲。誤解を解こうと右手を伸ばして言葉を返そうとした次の瞬間…
―― ドォォン!!
葵咲達が乗って来たクルーズ船の方で何かが爆発するような大きな音が轟いた。
葵咲「何!?」
慌ててそちらへと目を向ける葵咲。土方はオールを構え、ボートを岸へと向けながら言葉を放った。
土方「とにかく行くぞ!」
葵咲「うん!」