第121章 異国のマナーは一朝一夕では身につかない。
土方「いえ、貴殿は唯一無二の存在だと認識しています。」
葵咲「具体的には?」
土方「具体的に!?フィーリングも合い、共にいて自然体でいられる、自分の力を最大限発揮出来るのは、貴殿しかいないと思っています。」
葵咲「テンプレ通りの回答。話にならないな。君、私に向いてないよ。他の人を探した方が良いんじゃないかな?」
土方「!?」
ハァと大きなため息を吐きながら頭を抱える葵咲。だがそんな彼女を見て、土方は ある仮設へと辿り着く。
(土方:待て、これは…単なる面接じゃねぇ…。所謂、圧迫面接!!)
圧迫面接とは。
故意に意地悪な質問や威圧的な態度などを取るような面接の事である。圧迫面接は近年では減少傾向にあるが、未だにそれを行なっている企業もある。一説によると、一般的に企業側が圧迫面接をするのは、『学生のストレス耐性を知りたい』、『きつい言葉に対して冷静に切り返しができるかを知りたい』等の目的があるのだそうだ。
まぁ自分の仕事のうっぷんを晴らすために学生に八つ当たりしているような面接官もいるらしいが。
そんな圧迫面接風の葵咲を見て、土方は更に思考を巡らせる。
(土方:奴は俺のストレス耐性を図ろうとしてるんだ。もしくはキツイ言葉に対してどれだけ冷静に切り返しが出来るかを探ってやがる。ここで屈すれば負けを認めたも同然。平常心を保て。少しでも焦りを見せれば、その隙間に付け込まれるぞ!!)
背筋を伸ばし、面接を受ける就活生の如く、足の幅は肩幅程度に。手は両手を軽く拳を握って膝の上に置いた。そして土方はキッと葵咲へと鋭い視線を向ける。
土方「仕事を共にするうちに貴殿の事を深く知り、背中を預けられる存在だと認識しました。阿吽の呼吸とも言える仕事の姿勢は非常に心地よく、それは私生活にも言える事だと実感した次第です。」
葵咲「それはつまり、単なる仕事仲間の延長にすぎないんじゃないかな。」
土方「いえ。ただの仕事の延長ではありません。貴殿の真っ直ぐな姿勢、志、明るく快活な貴殿そのものに惹かれたのが一番の理由です! 」
なかなか良い感じの返答が出来ているぞ。そんな風に面接の手応えを感じる土方。だがここでふと我に返る。
(土方:あれ?ちょっと待て。コレ、俺がスゲー付き合いたいみたいじゃね?すがりついてるみたいじゃね?)
