第120章 重要な話は第三者が先に聞くべきじゃない。
山崎が葵咲からチケットを預かってから数日後、場所は屯所内。土方は眉根を寄せて唸っていた。
(土方:総悟にはああ言ったものの…。)
先日の総悟とのやり取りを思い出す。葵咲の本音を確かめると言ってしまった事。あの時は勢いで宣戦布告を受けてしまったが、いざ冷静さを取り戻してみると、どうしたものか悩ましい。ただでさえ本人には直接訊きづらい案件だ。しかも土方の性格上、おいそれと実行出来るものではなかった。
土方はため息を漏らし、ポケットに入れていた小さな小箱を取り出す。そして悩みながらその小箱をじっと見つめた。
土方「・・・・・。」
無言で小箱を見ていた土方に、遠くの方から山崎が大声で駆け寄って来た。
山崎「副長ォォォォォ!!大変!大変なんですゥゥゥゥゥ!!」
その声に驚いた土方は背中をビクリと震わせる。そして手に持っていた小箱を慌てて後ろ手に隠しながら、山崎へと向き直った。
土方「なんだ?どうした?」
山崎「葵咲ちゃんが…!!」
土方「! 葵咲がどうした!?」
“葵咲”というワードに反応する土方。この山崎の慌てよう、ただ事ではない事が伺える。何があったのだろうかと深刻な顔を浮かべる土方。土方のその反応を見るや否や、山崎は土方の手首を掴んで駆け出した。
山崎「とにかく急いで来て下さい!!」
土方「ちょ!おい!!」
山崎に手を引かれるがまま、土方は屯所の入口へ。門を出たところには鉄之助が待ち構えていた。大きめの車、バンのドアを開けて鉄之助は二人を手招きする。
鉄「副長!山崎さん!こっちです!!早く乗って下さい!!」
半ば強引に土方を後ろの座席へと詰め込む。そして山崎と鉄之助も車へと乗り込み、ドアを閉めてロックを掛けた。山崎は慌てた様子で土方へと詰め寄る。
山崎「急いでターミナルに向かって下さい!!」
土方「ターミナル?」
山崎「早く行かないと葵咲ちゃん連れてかれちゃいますよ!!」
土方「なっ!?誘拐か!?」