第120章 重要な話は第三者が先に聞くべきじゃない。
山崎「…今、俺にその答えは言わなくて良い。」
葵咲「!」
山崎「でも出来れば…副長には伝えてもらえないかな?」
葵咲「え?」
自分が先に聞くべきではないと思った。それが仮に葵咲から話してくれた事であったとしても。過去にまつわる事、大事な事はやはり当事者である土方が先に耳にすべきだと思った。
問われたにも関わらず、答えを求めない山崎に葵咲は顔を上げてきょとんとする。山崎は微笑を浮かべて葵咲へと視線を合わせた。
山崎「勿論、言いたくない事まで話す必要はない。けど、大まかな事情だけでも。…副長、ああ見えて繊細なトコあるから。理由もなしに断られて気にしてるんじゃないかな。」
葵咲「・・・・・。」
山崎の言わんとする事は理解出来る。自分の行ないがあまりにも一方的だったと、慰安旅行での事を思い出して葵咲は反省した。
考え込むように再び俯き加減になる葵咲に、山崎は笑顔を向ける。そして葵咲の持つチケットを指差しながら言った。
山崎「ソレ、本当は副長と行きたいんでしょ?」
葵咲「!」
本心を見透かされたように指摘されて、葵咲は大きく目を見開く。そして再びチケットをきゅっと握り、頬を染めながらおずおずと言葉を漏らした。
葵咲「・・・・い、行きたい…っ。」
山崎「!!」
(山崎:かっ、可愛いィィィィィ!!)
初めて見る葵咲の表情。それは恋する乙女そのものだ。今まで山崎が見て来た葵咲は天然ながらも芯はしっかりと。凛としていて真面目に職務に取り組む姿ばかりだった。言わばオンの葵咲しか見ていない。ここで初めてオフの葵咲を、完全プライベートモードの、しかも恋愛モードの葵咲を見たのである。(桂への恋慕(?)は、惚れ薬効果である為、ノーカウント。)
山崎は心の中で率直な感想を叫ぶ。だがここでハッと我に返った。