第120章 重要な話は第三者が先に聞くべきじゃない。
(山崎:…い、いかんいかん!俺にはたまさんが…!!)
突如フルフルと首を振るう山崎に、葵咲は片眉を上げて心配そうにその顔を覗き込む。
葵咲「退君?」
山崎「えっ!?あ!いや、ごめん!」
現実へと引き戻され、山崎は一呼吸置いていつもの平常心へと戻ってから再び葵咲に笑顔を向けた。
山崎「じゃあそれ、一枚俺が預かるよ。」
葵咲「え?」
山崎「俺から副長に渡してあげる。」
そう言って山崎は葵咲の手からチケットを一枚勝手に拝借する。
葵咲「えぇっ!?でも…。」
山崎「大丈夫!俺に任せて!当日はオシャレしてターミナルに来てよ。」
葵咲「…退君…。」
ドンと自らの胸を叩く山崎は今までに見た事ない程頼もしい。そんな山崎に目を奪われながら葵咲は少し口を噤むが、やがて笑顔を浮かべた。
葵咲「ありがとう。」
葵咲の笑顔を見届け、山崎は親指を立ててニッと笑い掛ける。そして山崎は葵咲に背を向けて歩み出した。そんな山崎の背を見送りながら、葵咲は一人物思いにふける。
(葵咲:最初で最後の贅沢…しても許されるかな・・・・。)
そんな事を思いながら、ふと別の考えが頭を過る。
(葵咲:そういえば、なんで退君が知ってたんだろ。土方さんが話すとも思えないし…。)
今まで散々陰から見守っていた山崎だが、葵咲はその事を知らない。山崎が自分達の関係について知っていた事に疑問を抱いたのである。だがここで、山崎が個人的に、主に土方を観察していたという結論には至らず、監察という職務の延長だと思い、その職務への取り組みを凄いなと思うのだった。