第120章 重要な話は第三者が先に聞くべきじゃない。
屯所内、葵咲が生活する離れの近く。離れから出て早々、葵咲は大きなため息を吐く。
葵咲「ハァ~~~~。」
葵咲の手には二枚のチケットが。“クリスマス限定ディナークルーズのペアチケット”。先の慰安旅行でのビンゴ大会の景品だ。葵咲はビンゴ二位抜け。幹事であるという立場からビンゴ大会の参加と景品授与の辞退を申し出たのだが、真選組隊士達の総意で葵咲が拒否する事を却下したのである。日夜懸命に職務に取り組んでいる葵咲への御礼の気持ちも込めて。将軍やそよ姫も含めた全員から言われた為、葵咲も断れなかった。
そうして受け取ったチケット。葵咲は眉根を寄せてチケットと睨めっこ。唸りながら考えを巡らせる。
(葵咲:コレの存在を…忘れてた。折角だし行ってみたい。妙ちゃん誘うと九ちゃん誘わないわけにいかないし。神楽ちゃん誘うのも銀ちゃん達に悪いしなぁ。っていうか、ついて来そうだし。それにコレ、絶対カップルばっかりだよね~…。)
葵咲「・・・・・。」
そこで思い浮かぶのは勿論、土方の顔。妙や神楽を誘えないというのは言い訳にすぎない。二人だけではない。月詠や猿飛、その他見知った女性を思い浮かべては、何かと誘えない理由を付けている自分に気が付いた。
そして更に考えを巡らせる。
(葵咲:…この間のアレ、早まっちゃったかな~…。せめてこれ行った後に…いやいや、そんな都合の良い事しちゃダメだ。上司に対して失礼すぎる…っていうか人として不誠実すぎる。)
葵咲「・・・・・。」
再び思考停止。ディナークルーズに行った後に『お付き合いは出来ません。』と言っていれば行く事は出来たかもしれない。だがそれはあまりにも都合が良すぎる自己中心的な行為。上司であり想い人である土方に対して、いや、仮に想い人でなかったとしても、そんな都合の良い行為を一瞬でも頭に過らせてしまった己を恥じた。
そして葵咲は再び考えを巡らせる。