第118章 幸せな時間明けの日常は夢オチを疑う。
朝食を食べ終え、葵咲と土方は旅館の中庭へ。そこは綺麗な日本庭園。池や灯籠があり、橋が架かり。和の風景を堪能出来るような造りになっている。二人はのんびりと庭園内を歩きながら辺りを見回す。
葵咲「昨日のうちに大分降ったんだね。」
土方「そうだな。」
かなり雪が積もっている。寝る前は特に雪の降る気配もなかったのだが、就寝後、深夜から未明に掛けて降ったのだろう。雪を眺めながら葵咲は心配そうに呟く。
葵咲「帰り道大丈夫かな?」
土方「まぁ何とかなんだろ。」
幸い、今 雪は止んでいる。これからまた降らなければ何とかなるだろう。まぁそれはさておき。土方には今朝の懸念が浮かび上がっている。葵咲の態度は至って普通。今までと何ら変わりはない。やはり夢オチか?
そんな事を考えていると、葵咲が足を止めて俯き加減に静かに語り始めた。
葵咲「…あのね、土方さん。」
土方「ん?」
葵咲「昨日は、その、本当に嬉しかった。こんな風に土方さんと想いが通じ合うなんて思ってもみなかったから。」
土方「!」
頬を赤らめながら語るその姿は恋する乙女そのもの。そんな葵咲の姿に土方の鼓動は再び高鳴る。そしてそれと同時に内心安堵のため息が出た。
(土方:あ、良かった。夢じゃなかっ…)
自分の懸念は取り越し苦労だった。その事にホッとする土方だったが、そこまで考えたところでハッとなって再び思考を巡らせる。
(土方:って、んな事言ってる場合じゃねぇ!これどんどん話し辛くなるやつじゃねーか!なんとか俺から話を切り出さねーと。)