第14章 お口が甘いのは?
誰だかわからないけど、大きな手のひらが頬を撫でるように触っているような気がする。
その手のひらはとても温かいんだけど、指先はびっくりするくらいに冷たい。
その温度差が妙に心地良くて私は瞳をあけることが出来ずにまどろんでいた。
「……か」
低くて艶のある声が時々聞こえくるけど、何を言っているのかわかんない。
集中して聞き取ろうと努力はするんだけど、撫でられている感触に酔ってしまって無駄な努力に終わりそう。
「…………つもりだ?」
うん……?
なんて言っているの?
「……だれ……?」
心地良さを運んでくれているのが誰だか知りたくて、重たい瞼を開けようとすると口の中に広がる優しい甘み__
まるでお砂糖を舐めているみたい。
疲れきった体に甘さが広がって元気がでそう。目を開けようとするけど、やっぱり瞼は重たくて──
「ありがとう……」
感謝の気持ちを伝えるだけで、また深い眠りへと落ちていってしまった。