第15章 天下人信長
「どうしてこんな事を……?」
「貴様がこの俺に対してつまらぬ戯れ言を言ったからだ」
「だからって……!」
これじゃあまるでセクハラだよ
「貴様の認識を正してやったんだ。感謝するがいい」
感謝なんてするわけないじゃない。
どうしていいのかわからなくて、怖くて涙がまだ止まらないのに
「それにしても」
「な、なんですか?」
「貴様の反応は俺の知っている女達とは違う」
「違う……?」
「女達はみな俺に触れられて悦びの声をあげるぞ」
何それ?
自慢ですか?
「女がみんな信長様を欲しがってると思わないでください」
「貴様はいずれ天下人となる俺の寵愛をいらぬ──そう言うのか?」
「私に触れていいのは……私が触れていいと許した人だけです」
「ほう……この俺を拒絶するというのか」
「っ……!」
座り込んだ私に合わせるように信長様もまた膝を折って私の目を見据えくる。
冷めた眼差しが突き刺さって居心地が悪い。
どうしてセクハラされた私が責められなくちゃいけないの?
あまりにも理不尽すぎると思う。
ますます信長様が苦手になりそうなのに、どうして?
信長様は優しく私の頬に触れ、涙を拭ってくれるの?
「え……?」
信長様の指が離れようとした瞬間───
微かに甘い匂いが私の鼻を掠めていった。
この甘い匂い……私は知っているような?
どうして信長様からこの甘い匂いがするの?
続く▷▷▷