第13章 天女の御加護
光秀さんに連れてこられたのは城門の手前。
門の前には人集りが出来ていて、なんだか騒がしい。
耳を澄ませて聞いていると
「ひと目天女様に……!」
「天女様に会わせてくだせー」
「てんにょさまにあいたいよー」
「御礼の言葉を……!」
天女に会いたいって……私に会いたいってこと?
「光秀さん……この騒ぎは……?」
「__らしく振る舞えよ」
「っ……!」
吐息まじりの甘い声が耳を擽る
(普通に喋ってよ)
またも惚けそうになってしまうのを寸での所で堪えて、光秀さんの言葉の意味を探ってみる。
らしくって振る舞えって私に天女らしくっていう意味だよね?
そんなの無理に決まってるじゃない。私はその辺に転がっている女だもん。
だいいち、私が一体なにをしたっていうのよ。
この時代では知り合いだっていないし、ほとんど外を出た事なんて……あれ?
あの人……赤ちゃんを抱いているあの女の人は
「きみさん……?」
光秀さんの手をすり抜けて赤ちゃんを抱いている女の人に駆け寄ると
「天女様……!!」
「あなた……きみさんですよね?あの時の」
「はい……!その節は本当にありがとうございました」
「よかった……無事に産まれたんですね」
きみさんの腕の中ですやすやと寝ている赤ちゃん。
可愛い!!
「抱かせてもらってもいいですか?」
「はい……!」