第11章 煙管
三成くんが用意してくれた駕籠に乗って家康さんの御殿に行く途中、周りの景色を見たくなった私は引き戸を開けた。
風が運んでくる土の匂い。現代ではきっと経験出来ないんだろうな
(だって道路は舗装されてるしね)
前に来た時も思ったけど、やっぱり活気に溢れているよね。
周りをきょろきょろと見ていると……あれ?
女の人が道の端でうずくまっているのが見えた。
「あの!すみません!止まって下さい」
「どうかなされましたか?」
私は駕籠から降りると女の人の傍へ小走りで近づいた。
「あのう……大丈夫ですか?」
「う、うま……!!」
うま……?
うずくまっている女の人の肩に触れると爪がくい込むくらいにぎゅっと掴まれてしまう。
「ふ……っ……ふっ…ふっ……」
鼻から抜くような浅い呼吸を繰り返して、額からは脂汗を流している。
「大丈夫ですか?」
「ふっ……!……あ……うっ……!」
「え……?まさか……」
私の視線は大きなお腹に釘付け。
実際に経験した事ないし、リアルで見た事もないけど……
もしかしたら……もしかしなくても……
「産まれそう……ですか?」
「うっ……!」
こくこくと頷ずかれてしまい……
どうしよう?!
どうしたらいいの?!
頭の中がパニック状態になってしまった。