第11章 煙管
家康さんと仲良くしたいとか自分の事を認めてもらいたいとか、そんな風に考えてるわけじゃない。
ただ、普通に接してもらえたら__そう思っているだけ。
たまに廊下ですれ違って挨拶をしても、チラッと私を見てすぐに視線を下げて小さな声で挨拶を返してくる家康さん。
もう少しだけ打ち解けたいって思うのは私のわがままなのかな?
そんな事をぼんやりと考えていたある日__
「様……私のお願い事を聞いて頂けますか?」
「三成くんのお願い事……?」
私に出来る事なのかな?
ちょっと不安になって三成くんを見つめていると、穏やかな笑みを浮かべて私の手を両手で包み込んでくれる。
あったかい……
なんだかとても安心してくる。
「御使いを頼まれてもらえますか?」
「おつかい?」
「はい。家康様の御殿にお届け物をお願いしたいのです」
「うん、いいよ」
それくらいだったら私にも出来そう。
「駕籠を用意させますので」
「歩いて行けるよ」
「駄目ですよ。様を1人で歩かせないように言われていますから」
あ……それを言ったのって多分、秀吉さんだよね?
もう、秀吉さんったら!
まだ忘れてないのかな
(時効はないの……?)