第10章 秀吉さんの1番
秀吉さんが私の事をわかってくれて、ちょっと嬉しくて心がほっこりとしていると
「はいるぞ」
「政宗……?」
政宗が入ってきた瞬間、美味しそうな匂いがして
「あ……」
「なんだ?今の音は?」
お腹が減っていた事を思いだしたかのように、盛大にお腹がなってしまった。
凄い恥ずかしいんだけど。
「くくっ……お前の腹は正直だな」
「政宗……!笑わないでよ」
「腹が減ってるって事はいいことだ。ほら、食えよ」
「……美味しそう」
「腹いっぱい食え」
「え……?でもっ……」
チラッと秀吉さんの顔を伺ってしまった。
だって今日は……
「政宗、ありがたいが夕餉は信長様と一緒にとる事になっている」
「信長様ならいないぞ」
「は?……どうしてだよ」
信長様がいない?
なんで?
まあ、私が知らないのは当然なんだけど秀吉さんも知らなかったらしく険しい顔をして政宗を睨んでいた。
「おい……俺を睨んでもしょうがねえだろ」
「どこに行かれたんだ?」
「さあな?俺がいちいち信長様の動向を気にする奴だと思っているのか?」
「家臣なら把握しておくべきだろう!」
「あいにく俺は信長様の家臣になったつもりはないんでな」
「政宗っ!」
「ちょっ……!!2人とも喧嘩しないでよ!!」
私を挟んで睨み合う2人にどうしていいのかわかんなくなる。
「そんなに恐ろしい顔をなさっていては様が怯えてしまいますよ」
殺気だっている政宗と秀吉さんの間にやんわりとした空気を纏っている三成くんがはいってくれた。
それだけで空気が和んでいくなんて、三成くんって凄いよね
(癒やし効果絶大だわ)