第10章 秀吉さんの1番
「え……?」
「うん……?」
お互いに顔を見合わせて固まってしまった。
「あれですよね?私が信長様のお気に入りだから……その……守ってくれるんですよね?」
「それだけじゃないぞ」
「え……?……あ、あの……」
たれ目な秀吉さんが更にたれ目になって優しく微笑みかけてくれる。
その微笑みが嬉しくて、なんだか心が温かくなっていくのを感じた。
「お前が……が天女だからだ」
「だから……私は天女じゃ」
「待て」
「っ……!」
反論をしようとした私の唇に秀吉さんの指がそっと触れて……
(うわっ……胸が熱くなる)
「お前は天女だ」
だから……!
私は天女じゃなくて___
大きな手のひらが私の頬を優しく包み込んできた。
「お前はこんなにも柔らかくて温かい……」
「っ……」
「俺と同じ血が流れている人間だ。でも、この時代ではお前は天女なんだよ」
天女___
秀吉さんのいう天女の意味が何となく……わかったような気がした。
私はこの時代で生を受けたわけじゃない。
彼の言う天女の意味は人間だけど、この時代の人間じゃないっていう意味なんだと思う。
秀吉さんはちゃんとわかっていてくれたんだ。
私がこの時代じゃない違う時代から来た人間だという事を___
凄く嬉しい。